Bukhara


愛すべき立方体 イスマ−イール廟  Bukhara

現在のブハラの街の大部分は、13世紀初頭モンゴル軍の破壊の後に再興した都市ではあるが、基礎になっているのは9世紀サマーン朝によって建設された起源をもつ古都に思える。その王族の小さな廟が、砂に埋まっていたために奇跡的に原型を留めていたということで、それがまた中央アジアで最も古い記念物に数えられていることなど、町の所々に古都が顔を覗かしているように思うからである。表面的なタイル装飾ではなく、煉瓦やテラコッタの凹凸装飾を駆使した廟は、イスラム以前からそこにあったような素朴な静けさを纏う。約9mの立方体、中央に一つの半球ドームが載るだけの単純なかたち。中央アジアが誇る愛すべき古の立方体だ。



『TOTO通信2013年夏』号の表紙にKIHの写真が使われました。
特集の「忘れられた冒険」とあわせ、是非お手にとってご覧下さい。

TOTO通信2013年夏号


鈴木恂のデジタルアーカイブ<M>、はじまりました。
研究室OBによる継続的なインタビューも試みています。

M - archive






写真・文 鈴木恂
発行 amsedit
判型 B4判変形 300×240mm
頁数 160頁
写真 110枚
印刷 モノクロームWトーン
ISBN 4-904451-00-7
定価 6,300円(本体6,000円+税)


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“そこにある天幕もまた美しい”

現象として現れる多くの天幕は、まさしく天空から空間を獲得するための受け皿のような仕掛けに見えて、「天」あって「幕」ありという関係をよく表現している。現実にどこにでもあるような、風になびき、日に灼け、埃にまみれ、雨にたたかれた天幕とその群に対して、洋々と天地の間にあって、絶妙な間合いのなかで影を描く柔らかな天幕を、ただの天幕から引き離し、ここでは天空によって生かされているその「一枚の布」の想像から捉え直してみたい。(本文より)

Many tents, regarded as phenomena, seem like devices for obtaining space from the firmament and remind us that, without the sky, there would be no tents. Here I would like to distinguish soft tents that stretch generously between heaven and earth and cast shadows at exquisitely spaced intervals-from more commonplace tents that are buffetted by winds, covered with dust and beaten by rain-and reexamine them from their initial conception from a length of cloth given life by the sky.