ヒマラヤの麓で短いトレッキング・コースを歩いた。場所はアンナプルナとダウラギリの狭間のカリガンダキ河にそった路。8000m級の山塊の懐のなかで、至福の時をもった。
神々しき山々の半分にも満たない、3000mの高度をうろついているだけなのに、その感動は、久々に遥かな高みに舞い上がった。
若い頃、北海道の山々をよくうろついたものだ。大学時代も山岳に親しんではきたし、ヨーロッパアルプスの周辺もよく歩いたものだ。
しかし、思えばその後、何十年も自然と接することなしに、仕事に打ち込んできたものだ。教育と設計作業は所詮人工的な世界での創造である。その何十年もの人工時間があって、自然がかくも崇高に見えてきたのであろう。
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