Keriya


春にタクラマカン砂漠を走り回った。その総距離は3000kmに近い。

砂嵐で太陽が霞んだ日も、震えるほど寒い夜もあったが、概ね順調に、パミール高原まで足を伸ばすことができた。天山山脈と昆崙山脈の間に砂漠は横たわるから、オアシスは山裾に並ぶ。クチャ、トルファンは天山側。ホータン、ヤルカントは昆崙側。カシュガルは砂漠の西端にあって、それぞれが個性的で面白い街である。いわゆるシルクロード。玄奘三蔵の足跡、仏教遺跡など観るべきものも多いのだ。

しかし、なんといっても圧倒されるのは自然の有様。まさに圧巻、言葉を封じる。言葉だけではない、歩み入る欲望も断たれて、ただただ黙して対面する。じわりと祈りの気分に包まれつつ、久し振りの自然と対面する。